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□糖尿病療養指導士としての看護師の役割
糖尿病治療の目標は,合併症の発症,病気の進展の予防です.毎日の生活のなかで,患者は自ら目標と責任をもって血糖を良好に保つ治療行動をしていかなければなりません.
医師から「あなたは糖尿病です」と告げられたとき,多くの患者はそれを突然のことと感じるでしょう.患者はそのときから,糖尿病であることを受け入れ,療養生活を始めていく,つまり従来の生活習慣を改善し,治療方法を理解して実行していく行動変容が求められます.しかし,医師の告知直後,すぐさまその状況を受け入れるのは大変難しいことといえるでしょう.看護師は,患者がまだ糖尿病であることを受け入れられない段階,問題を認識していない段階(行動変容の変化ステージの前熟後期)に医師と同時に関わる立場にいます.そこでまず必要になるのは,患者の感情(思い)や糖尿病への考えを聞き,患者自身がどのように受け止めたかを知ることです.そして,患者とともに「今後,どうなるとよいか」,「どのような目標・方法ならば日常の生活で実践できるか」を考えていきます.療養生活が始まった後も,その体験をともに振り返り,何か問題を抱えていないか,治療生活が適しているかなどを専門的な立場で評価し,治療の継続へ繋げていくことが必要です.その際,糖尿病患者のQOL維持に関与する3つの要素,「①治療の有効性」「②安全性」「③簡便性」が療養生活にどのように影響しているかを振り返ることも大切です(Box 1).
看護師は患者の最も身近にいる医療者です.ですから,患者がさまざまな医療者を利用する際の窓口になれるような関係をつくり,患者の体験や思いなどの情報を得て,ほかの医療者と連携していくことが重要な役割だといえます.
今回の事例検討では,外来通院中の2型糖尿病患者で入退院を繰り返している男性,および入院中の1型糖尿病の小児でキーパーソンである母親とともに自己管理へと導くことのできた2つの自検例を紹介します.
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