Japanese
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特集 糖尿病こころと行動のキーコンセプト
糖尿病患者のストレスマネジメント
Stress management for diabetic patients
西 雅美
1,2
,
津田 彰
1,2
1久留米大学大学院心理学研究科
2久留米大学大学院文学部心理学科
キーワード:
①糖尿病のストレスマネジメント
,
②糖尿病に対するセルフマネジメント(セルフケア行動)
,
③多理論統合モデル(transtheoretical model:TTM)
,
④臨床的アプローチ
,
⑤集団的アプローチ
Keyword:
①糖尿病のストレスマネジメント
,
②糖尿病に対するセルフマネジメント(セルフケア行動)
,
③多理論統合モデル(transtheoretical model:TTM)
,
④臨床的アプローチ
,
⑤集団的アプローチ
pp.453-457
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100980
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□はじめに
糖尿病は,生涯を通じて食事や運動,処方薬へのアドヒアランスを含めた生活のセルフケアが求められ,病気への不断の対処が大きなストレスとなる.同時にまた,日常生活の中で遭遇するさまざまなストレスが糖尿病に悪影響を及ぼす.そこで,糖尿病患者が前向きに生活の自己管理を行い,きちんと治療を続け,合併症を予防するために,ストレスマネジメントの知識とその実践が大切となる1).
本稿では,最初に症例を取り上げながら,糖尿病患者が抱えるストレスを明らかにする.とくに,自己評価の低下,低血糖と合併症への不安,低血糖時の自覚症状の不快感などについて,筆者らの最近の知見を取り上げる.次に,糖尿病の予防と管理のための多理論統合モデル(transtheoretical model:TTM)2)を用いたストレスマネジメントの臨床的アプローチと集団的アプローチを紹介しながら,その意義と成果,将来の展望について考察する.
医療提供者にとって,糖尿病患者のストレスを適確に把握し,彼らがストレスへの対処(コーピング)を効果的に行うなどのストレスマネジメントに取り組めるように支援することは,患者を「健康へのエンパワーメントをめざす人間」あるいは「病をもった人間」として,全人的(生物的―心理的―社会的存在として包括的)に理解することを心がけ,患者の視点にそったケアの提供とセルフケアの支援を行う全人的医療を展開する上で重要である3).
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