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特集 糖尿病こころと行動のキーコンセプト
精神分析入門―罪意識をめぐって―「第4回 こころと糖尿病看護のNet Seminar」教育講演より
Psychoanalysis
北山 修
1
,
石井 均
2
1九州大学人間環境学研究院 人間科学部門 人間共生システム心理臨床学
2天理よろず相談所病院内分泌内科
pp.459-470
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100981
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□最後に医療者に問われるのは人としての包容力
最初に申し上げておきたいことは,生身の患者を取り扱うに当たって,最終的に問われるのは,私たちのほんとうに悩む能力といいますか,私たちの人間の「でき」みたいなものだと思うのです.医療における私たちの危機的な状態といいますか,技法論とか技術論では絶対に向かい合えない状況で問われることは,そこで踏ん張れるかどうかです.そこを乗り越えさせるのは人間の「でき」みたいなもの,つまり包容力だということを強調しておかねばならないと思います.
今回の症例(Box 1)では,治療者が患者に共感し,患者の問題を自分の問題として受け止めてしまって,揺れ動いている,つまり自分の「でき」が問われているという状況だと思います.患者さんと同じ問題を私たち治療者が抱え込んでしまうのが巻き込まれているという状態だと思うのですが,それをうまくこなすことができるのが,私たちの包容力であったり,私たちの人間の「でき」であったり,私たちの真価が問われているところなのです.
治療者が健康で,治療者が生き延びることができて,治療者が明日をきちんと迎えることができないと,われわれの仕事は成立しないということです.
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