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Introduction to Diabetic Patient Management●糖尿病医療学入門 第15回
糖尿病療養行動を促進する方法―多理論統合モデルの糖尿病治療への応用:①前熟考期
The application of trans theoretical model to diabetes therapy:①Precontemplation
石井 均
1
1天理よろづ相談所病院内分泌内科
pp.267-275
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100948
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□プロローグ
【症例15-1】コミュニケーションが取れないままに治療から脱落した症例
【プロフィール】
20歳男性,2型糖尿病,発症後2年で合併症はない.両親と近医の強い勧めにより糖尿病教育入院.
【入院後の経過】
教育コースに参加し,初回「糖尿病はどんな病気か」の講義を聞いていたが,明らかにいやいやという態度.講義の後,「糖尿病は治るのですか?」との質問があった.講義者より,「治らないがコントロールはしていける」と説明した.
その後全く糖尿病教室には参加せず,一日中ベッドに寝ており運動もしようとしない.担当看護師がベッドサイドで治療に関する説明をしようとするが耳を貸さず.さらにコースへの参加を促すと,「あんたに何が分かる! うるさく言うな,ほっといてくれ!」と攻撃的に拒否.主治医も説得を試みたが,コミュニケーションのとれぬまま退院.
私たちにとって,苦い経験から紹介したい.この話はもう15年以上前の経験である.若い2型糖尿病患者であり,「何とか療養法を覚えてもらって今後の人生を大切にしてほしい」と私たちは考えていた.しかし,私たちの思いと彼の反応は全く逆の方向を向いてしまった.なぜこんなことになったのだろう.私たちの中に,その思いが深く残った.
今にして思えば,この人は前熟考期にあったのだ.その時期にある人への対応法を間違えたのだ.それでは,前熟考期とはどんなステージで,一体どんなアプローチが適切なのだろうか.
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