Japanese
English
特集 最新のデータに基づく日本人の糖尿病治療 日本人2型糖尿病の本質にせまる
膵島機能の劣る日本人の民族的特徴を考えた食事指導
Dietary management of type 2 diabetes in Japanese
土井 邦紘
1
1土井内科
キーワード:
①食物繊維
,
②glycemic index
,
③出生時低体重
,
④内因性
,
外因性因子
,
⑤環境因子
Keyword:
①食物繊維
,
②glycemic index
,
③出生時低体重
,
④内因性
,
外因性因子
,
⑤環境因子
pp.245-253
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100942
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
日本人の食生活の変遷―日本人も最初は肉食をしていた?
西洋は肉食文化であることは過去も現在も変わりがない.では日本はいかがなものかであるが,多くの人達は日本は古来菜食中心の食文化であったと思っているのではないだろうか.日本人だって,もともと肉食を毛嫌いしていたわけではない.縄文時代の貝塚にはたくさんの貝類に混じって,クマ,シカ,イノシシ,サル,ウサギ,タヌキなどの骨が出土している.ツル,カモ,スズメ,キジなどの鳥類の骨まである.モリを持って狩りをした勇壮な民族であった1).稲作が盛んになった飛鳥から奈良時代になると狩猟,農耕生活と安定した生活を送るようになった.しかしながら,狩猟は,飛鳥に即位して4年目の天武天皇によって,仏教を熱心に信仰するあまりに禁止された.これが日本の肉食文化が消えたはじまりである.この禁止令にはイノシシやシカはなかったが,それから45年後の元正女帝が仏教ばかりではなく儒教や道教の教えに結びつけて一切禁止とした1).もっとも,平安時代にはニワトリ,キジや小鳥は食べてもよいことになったが.しかし,このような状態は一部の貴族などを除いて文明開化まで約1,000年続くことになった.したがって,この間にわれわれの生体は菜食文化になじみ,多くの庶民は貧しくインスリンをあまり必要としない生活を送ってきたのである.そして,現在,これまでの食生活が破壊され生体,特にそれまで役割が少なかった膵β細胞に大きなショックを与えることになった.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.