今月の主題 急性期脳卒中の臨床
診療の実際
膵島腫瘍
黒田 慧
1
,
赤尾 周一
1
1東大第1外科
pp.237-239
発行日 1978年2月10日
Published Date 1978/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207751
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はじめに
膵島腫瘍は膵に発生する内分泌腫瘍の総称名として用いられ,腫瘍から分泌されるホルモンによって特有の症候群を呈するfunctioning tumorと,とくに症状を呈しないnon-functioning tumorとがある.膵島腫瘍には複数のホルモンを産生するものが多いが,そのうち最も多量に産生・分泌されるホルモン(原因ホルモン)によって症状が発現すると考えられており,膵島腫瘍およびそれによる症候群は,ともにその原因ホルモン名に-omaを付して呼ばれることが多い.
膵島腫瘍による症候群のうち最も多い疾患はインスリノーマで,次いでガストリノーマ(Zollinger-Ellison症候群)が多く,WDHA症候群がこれに次ぎ,グルカゴノーマはさらに稀で,ソマトスタチノーマは最近2例の報告をみたに過ぎない.また,膵島腫瘍によるクッシング症候群やカルチノイド症候群なども稀に報告されているが,ここでは膵島腫瘍に特有で比較的頻度の高い前4者について概説することとしたい.
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