News & Master's View
旧薬は新薬に劣らない
福田 正博
1
1ふくだ内科クリニック
pp.533
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100729
- 有料閲覧
- 文献概要
最近は,糖尿病合併症の病因として食後高血糖と内臓脂肪が注目され,それに対するチアゾリジン(TZ)薬やαGI薬などの新薬の有用性が喧伝される一方,SU薬などのデメリットが強調されがちである.この総説は厳選した216ものスタディについてメタアナリシスを行い,旧いが安価な薬(SU薬,BG薬)は,新しい高価な薬(TZ薬,αGI薬,グリニド薬)に対して,決して遜色のない有用性をもつことを示したものである.本来は慢性合併症の発症阻止効果を直接評価すべきであるが,新薬の治験期間は長くて2年と確定的な評価を下すには不十分と判断,血糖コントロールや血圧,脂質,体重増加などの心血管危険因子に対する効果と有害事象について評価したという.その結果,旧薬はどの評価項目についても高価な新薬に比べ同等か優位な効果を示した.
なかでもLDL-CはTZ薬で10mg/dL増加し,BG薬では10mg/dL低下すること,TG低下はTZ薬だけでなくSU薬でも認められたこと.有害事象のうち心不全を含む心血管事故でみるとSU薬のリスクはBG薬やTZ薬より有意に少ないことなどが興味深い点である.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.