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特集 薬物療法の「常識」はいまも常識?
脂質異常症へのトコフェロール製剤,EPA製剤投与は有用か?
Effects of α-tocopherol and eicosapentaenoic acid on dyslipidemia in type Ⅱ diabetic patients
川井 紘一
1
1川井クリニック
キーワード:
①ビタミンE
,
②EPA
,
③2型糖尿病
,
④脂質異常症
,
⑤動脈硬化
Keyword:
①ビタミンE
,
②EPA
,
③2型糖尿病
,
④脂質異常症
,
⑤動脈硬化
pp.51-53
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100908
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脂質異常症へのトコフェロール製剤,EPA製剤投与は有用か
糖尿病患者はⅡbまたはⅣ型高脂血症をきたしやすい.と同時に神経障害や閉塞性動脈硬化症などが原因となり,足の冷感,しびれ,疼痛をしばしば訴える.糖尿病を合併したⅡb型,Ⅳ型の高脂血症ではLDL-Cho,TG上昇に加え,低HDL血症,高RLP-Choを伴う頻度も高く,動脈硬化性疾患予防の観点からもその管理目標値は厳しく,食事療法・運動療法に加え薬物治療を行うこともしばしばである.LDL-Cho高値が目立つ場合にはスタチン系薬剤,高TG血症が目立つ場合にはフィブラート系薬剤が第一選択薬として用いられ,患者背景が許せばその両者の併用もしばしば行う.
しかし,後者の足の冷感,しびれを訴える糖尿病患者は多く,高脂血症が目立たない場合にはしばしば高脂血症薬との併用なしにニコチン酸トコフェロール製剤(ユベラニコチネート®)やEPA製剤(エパデール®)を処方することがあるし,高脂血症が目立つ場合にはスタチン製剤やフィブラート製剤と併用し処方することも多い.しかし,一度処方すると漫然と処方してしまうことも多いので注意が必要である.特に高薬剤費用負担となるエパデール®については,治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すると「医薬品添付文書」にも記載されている.そこで,トコフェロール製剤とEPA製剤の脂質異常症治療への臨床的意義について考察してみた.
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