- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
症例 54歳 男性
既往歴:特記事項なし.
家族歴:父,父方 祖母糖尿病,母 脳梗塞.
生活歴:飲酒,喫煙なし.
現病歴:38歳時,初めて検診で尿糖を指摘され,75gブドウ糖負荷試験で境界型と診断された.BMI 31と著明な肥満があり,同時に蛋白尿も指摘されたため近医通院を開始し,食事療法で経過観察されていた.しかしその後も体重は漸増し,40歳時91kg(BMI 32.6)となった.血糖コントロール不良のためグリベンクラミド(Gbc)とビグアナイドを併用されていたが,肥満も改善しないため,42歳時当科紹介初診.初診時BMI 33と高度の肥満,HbA1c 7.7%,高血圧,蛋白尿,脂質異常症,肝機能障害,血小板低下(12.5万/μL)を認めた.腹部超音波(USG)で脂肪肝,胆石を指摘され,NAFLD(non-alcoholic fatty liver disease)の経過観察のため当院消化器科にも併診.Gbc 7.5mg,塩酸メトフォルミン(Met) 1,000mgまで漸増されるもHbA1c 9~10%程度と血糖コントロール不良のため,50歳時血糖コントロール目的に入院.入院時BMI 31.0と著明な肥満を認め1,600kcalの食事療法と食後の運動を励行したところ血糖コントロール改善し,最終的にGbc 2.5mg,Met 1,000mgで良好となった.細小血管合併症は神経障害のみで網膜症は認めず.蛋白尿については,糖尿病性および肥満関連腎症を疑われた.USGで脂肪肝および軽度脾腫を指摘されたが,肝生検は施行されず,再び外来で経過観察されることとなった.53歳時肝生検施行時,NASH-LC(non-alcoholic steatohepatitis-liver cirrhosis.組織診断:F4,A2-3,S2)と診断.翌54歳時,上部消化管内視鏡で食道・胃静脈瘤〔LsF2CbRC(-)Lgc(+)〕を指摘された.現在,グリメピリド,Met,リナグリプチン,ロサルタン,フルバスタチン,ウルソデオキシコール酸,ビタミンEとビタミンCで治療継続し,肥満の改善のための食事・運動療法を指導中である.リナグリプチン開始後から徐々に血糖値改善し,最近HbA1c値7%以下まで低下してきている.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.