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膵臓のβ細胞のコレステロールホメオスターシスに関与するabca1が,インスリン分泌の第1相に関与している
清野 弘明
1
1せいの内科クリニック
pp.479
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100726
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日本人の糖尿病患者の増加には,脂質摂取量の増加が関与しインスリン抵抗性が惹起され,それに見あったインスリン分泌が障害されることにより発症すると考えられている.
この論文によれば,膵β細胞のabca1の障害によりβ細胞膜に過剰なコレステロール蓄積を防御できなくなり,コレステロールが細胞膜に蓄積しインスリン分泌障害が起きること示した.以上より,脂質摂取の増加によりインスリン抵抗性だけではなく,膵臓β細胞にコレステロールが蓄積することによりインスリン分泌も障害もされ糖尿病の発症にいたる経路が提唱されたことになる.脂肪毒性は主にインスリン抵抗性の原因として報告されてきたが,抵抗性以外のインスリン分泌にも障害を及ぼすことを分子レベルで解明した点が興味深い.
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