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□第1例(Box 1)
畠山 糖尿病療養指導士に興味を持ったのは2001年の秋でした.糖尿病に特別な思い入れがあったわけではないのですが,日々の看護の中で,糖尿病教育が曖昧になっているのがとても気になっていました.しかし,自分自身,糖尿病に対して十分な知識もなければ,患者教育のあり方について深く考えたこともなく,とりあえず知識だけでも身に付けねばと,翌年,受講したのを覚えています.まさか,そこで糖尿病ケアの醍醐味を知るきっかけが生まれるとは予想もしていなかったことでした.
「糖尿病患者の心理と行動」の講義をしてくださったのが石井均先生でした.そして,この石井先生との出会いこそが,私に糖尿病ケアの醍醐味を教えてくれる運命の出会いとなったのです.それまでの私は,患者心理など全く考えずに,自分の看護だけを一方的に展開していました.そして,大きな間違いを起こしてきました.以前,お酒が大好きで食事療法も守れず,コントロール不良で何度も入退院を繰り返した方がいました.入院の度にまたか…と思い,何で指導が守れないのだろうと,苛立たしく思っていました.その方が入院中に間食しているという情報を受け,目撃もしていないのに一方的に指導したことがありました.もちろんその方は憤慨して大声を上げてきました.それでも,そのときの私は,自分のした間違いに気づかずに過ごして来たのです.あのとき,まず患者さんの話を聴いていたらどうだったでしょう.患者さんが本心を言いやすいように共感する態度で話し合っていたらどうだったでしょう.何より大切だったのは,信頼関係を築くこと.間食を注意することではなく,なぜ間食してしまったのか一緒に考えること,そしてどうしたらいいか一緒に考えることだったのです.
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