特集 事例検討と事例研究
事例検討から事例研究へ
飯田 澄美子
1
1聖路加看護大学
pp.355-360
発行日 1990年5月10日
Published Date 1990/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900058
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はじめに
看護に研究が必要である,看護の専門性を支える学問とは何か,などが論議され,看護の機能を学として確立していくためには,多くの研究が積み上げられることが必要である,と認識されるようになったのは1968年頃からである。改革された看護教育のカリキュラムの内容には,研究の大切さが述べられ,研究的態度を持って実践活動を行なうことが,看護を浮き彫りにし整理して,体系化へとつなげていくことになるという考え方と方向性が示されている。
卒後教育では,研究の意義,方法,まとめ方などが研修として取り入れられるようになった。保健婦の卒後教育の中では,調査研究をはじめ事例研究についての研修が行なわれた。当時は研究とは何か,という基本的な考え方と体験を通して学ぶことのなかった基盤の上に研究として積み上げていくことの困難さがあり,多くの問題があった。筆者は事例研究を担当することが多かったが,研究以前に行なっていなければならない,いくつかのことが欠けていることに気づいた。
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