特集 患者満足度を高める糖尿病診療
第1部 外来で患者満足度を高める
One More Tips
患者満足度を高める私の工夫―信頼関係の重要性
瀧野 博文
1
1諫早総合病院 内科
pp.144
発行日 2005年2月15日
Published Date 2005/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100647
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糖尿病の治療は糖尿病について知ってもらうことにあることはいうまでもない.しかし,たとえ過食して血糖が300mg/dLになっても今日や明日にはなにも起こらないのも事実であり,コントロールが悪くなるとどうなるかは知っていても,まさか自分には…と考え,なかなか行動には移れないのは当然と考える.そこで筆者は患者さんに,「3年後あなたはどういう自分でありたいですか?」と聞くことにしている.糖尿病の治療はそのために行うことを確認して,それは急にうまくいかなくてもいいことを話す.そして,時間をかけても,その患者さんに行いやすい方法を一緒に見つけていくことを確認する.
また血糖コントロールは日常の出来事にも左右されやすい.仕事の多忙さ,配置転換,子供の結婚,周りの人の冠婚葬祭など私たちを取り巻くもの一つ一つに起因して変化してゆく.これに対して血糖のコントロールのみをみてその原因を考えなければ患者さんとの信頼関係は成り立たない.筆者は血糖のコントロールが変化した際には必ずその原因を聞いて,診療録に記載するようにしている.良くなった際,悪くなった際,その原因を聞いて一緒に考え診療録に記載し,その患者さんの療養指導に携わるスタッフには知っておいてもらうよう心がけている.情報を共有することで,よりよい信頼関係が築かれるものと考えている.その記載をもとに次の診療の際にも「この前のことはどうなりました?」と尋ねその後のことも一緒に考えるようにしている.
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