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Case 1
スルホニルウレア(SU)薬二次無効と足潰瘍のために専門医へのコンサルテーションを勧めたが,病妻の介護を理由に拒否した64歳男性
59歳で検診にて高血糖を指摘されたため,地域の基幹病院を受診して糖尿病と診断された.初診時より増殖網膜症を合併しており,眼科に入院して光凝固療法が施行された.退院後は食事療法とオイグルコン内服による治療を受けていたが,糖尿病外来の主治医に「厳格な食事療法を守ることができなければ,経口薬を処方することはできない」と言われたことを契機に受診を中断した.61歳のときに,両足底の鶏眼を自分でかみそりを用いて削ったために,感染を起こして当院を受診した.当院でオイグルコン5 mg/日の処方を再開したところ,HbA1Cは6.5~7.0%にコントロールされていたが,約半年前からオイグルコン10 mg/日まで増量してもHbA1Cが9%以上になりSU薬二次無効が疑われた.同じ頃から両足底の鶏眼は潰瘍化して処置が必要な状態となった.教育入院を前提とした糖尿病専門医への受診を勧めたが,患者は「脳梗塞後に寝たきりとなった妻の介護があるので,どうしても入院はできない.足の潰瘍もここで消毒をしてもらえればそれで良いし,それ以外の治療はやってほしくない」と強い拒否を示した.そこで専門医へのコンサルテーションは延期とし,キーパーソンである長男の嫁と面談したところ,患者の妻が倒れてから食事療法ができなくなり,アルコールの量も増えていたことが判明した.家族の協力により,1,600 kcalの食事の徹底と禁酒を行ったところ,数カ月後にはHbA1Cは6.5~7.0%のレベルに戻り,足潰瘍の悪化も止まった.
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