特集 Common Diseaseの診断・治療の新しい常識
プライマリ・ケアの臨床疫学
新保 卓郎
1
Takurou Shinbo
1
1京都大学医学部附属病院総合診療科
キーワード:
プライマリ・ケア
,
臨床疫学
,
prediction rule
,
ランダム化比較試験
,
メタ分析
Keyword:
プライマリ・ケア
,
臨床疫学
,
prediction rule
,
ランダム化比較試験
,
メタ分析
pp.654-657
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100996
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筆者も含めて多くの先生方が,フレッチャーやサケットの『臨床疫学』を読んだ時に「目から鱗」の思いであったという.これは臨床疫学が,日常診療の問題点を考察する方法を与えてくれたからだろう.プライマリ・ケアの充実と臨床疫学の発展,あるいはEBMの展開は密接に関連してきた.プライマリ・ケアでは,臨床疫学が強力な武器となる.これは,血液学では遺伝子医学が重要な道具となり,呼吸器病学や腎臓病学では生理学が道具となったのと同様である.
この稿では,プライマリ・ケアにおける臨床疫学の貢献を振り返りたい.一例として,米国から2001年に発表された成人の急性呼吸器感染症ガイドライン(米国ガイドライン)1)を取り上げた.この米国ガイドラインでは,基礎疾患のない成人の急性呼吸器感染症を,上気道炎,副鼻腔炎,咽頭炎,気管支炎に分類し,とくに抗生物質を使用するのはどのような場合かを記載している.臨床疫学の寄与に関しては,診断,治療上の問題について言及した.
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