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遺伝的症候群に伴う糖尿病は,その症候群を知っていること,そして疑ってみることが大切である.
Case:30歳にて診断し得たPrader-Willi症候群の女性
患者:30歳女性.
既往歴:生後6カ月で精神発育遅滞を指摘.18歳時に糖尿病と診断されたが,まもなく治療中断.28歳時,近医にて高血糖を指摘され当院紹介受診.HbA1C 13.9%にて入院の上インスリン導入となったが,その後も血糖コントロールは不良で入退院を繰り返していた.30歳時,自宅での過食が続き前年80 kgだった体重が100 kgまで増加,またイノレット(R)30R朝30単位夕14単位まで増量するもコントロール不良のため入院となった.精神発育遅滞があり(8歳程度の知能レベル),就職経験はなし.性格は温厚だが時に激しく落ち込み,うつ状態になることがある.また27歳時に初潮を迎え,以後月経周期は不順だが,ほぼ月に1回ある.
入院時所見
身長:140 cm,体重:100.3 kg,BMI:51.1と高度な肥満を認めた.胸腹部に特記すべきことなし.比較的狭い眼裂,耳介低位,色白な皮膚,小さな手足を認めた(Box 1).筋力の低下なし.
血圧158/94 mmHg,HbA1C 9.9%,クレアチニン0.44 mg/dL,尿中蛋白3.97 g/日,CCr 77 mL/min,蓄尿C―ペプチド33.5 mg/日.眼底は増殖網膜症にて光凝固術後.
入院後,染色体検査を行ったところ,FISHにて第15染色体のPrader-Willi症候群責任領域の欠失を認め,Paternal deletion type Prader-Willi症候群と診断された(Box 2).
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