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血糖コントロールが乱れたら,目,のど,動悸,手指振戦,5H(本文62ページ参照)に注意.
Case 1:69歳女性
現病歴:66歳時に糖尿病を指摘された.HbA1Cは6.7%で経口血糖降下薬が開始された.いったんHbA1Cは5.8%まで改善したが,3年後には9.6%まで増悪した.特に食事療法の乱れはなかったという.最近4カ月で体重が9 kg減少した.最近1カ月は手指が震えるのを自覚していた.通院先の病院で甲状腺機能亢進を指摘された.数年振りに会った友人に,「目が大きくなった」と言われた.
現症:身長150.3 cm,体重41.8 kg,BMI 18.5,意識清明,体温36.6℃,血圧138/64 mmHg,脈拍96/分・整,呼吸16/分,眼球結膜の充血を認め,上眼瞼が退縮して「白目」が大きい印象を受けた.びまん性甲状腺腫を触知した.収縮期心雑音を聴取し,手指振戦を認めた.
検査所見:検尿で糖(4+),ケトン体(+)を認めた.血算は正常であったが,生化学検査ではALTが46 U/L,ALPが460 U/Lと高値,総コレステロールが97 mg/dLと低値であった.HbA1Cは13.5%と増加し,抗GAD抗体も280.5 U/mLと高値であった.空腹時,食後2時間の血中Cペプチドはそれぞれ0.4,0.5 ng/dLであり,インスリン分泌能は低下していた.free T4 6.02 ng/dL,TSH測定感度以下と甲状腺機能は亢進していて,抗甲状腺受容体抗体は42.7%と陽性であった.
経過:高血糖,インスリン分泌能低下,抗GAD抗体強陽性より1型糖尿病と診断した.インスリン4回注射(R14-R14-R12-N14)で血糖コントロールは改善した.甲状腺に関してはBasedow病と診断し,メルカゾール(R)30mg分3食後投与1)で甲状腺機能は改善した.
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