Japanese
English
Case Record●症例報告
多発性内分泌腺腫症Ⅰ型(MEN1)に糖尿病を合併した症例―MEN1も糖尿病を合併しやすい内分泌疾患の1つである
A case record of a patient with diabetes mellitus and MEN1
佐久間 洋二朗
1
,
奈部 浩一郎
1
,
本庶 祥子
1
,
池田 弘毅
1
,
青山 倫久
1
,
木村 哲也
1
,
野村 和弘
1
,
浜本 芳之
1
,
和田 良春
1
,
越山 裕行
1
1財団法人田附興風会医学研究所北野病院
キーワード:
①MEN1
,
②副甲状腺機能亢進症
,
③インスリン抵抗性
Keyword:
①MEN1
,
②副甲状腺機能亢進症
,
③インスリン抵抗性
pp.309-313
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100818
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症例は,48歳時に糖尿病を指摘,52歳時にMEN1を確認された56歳女性.下垂体プロラクチノーマと副甲状腺腺腫,十二指腸ガストリノーマを指摘されている.二人の子供(長男と長女)にもMEN1の家族歴があり,そのうち長男は糖尿病も合併している点で共通している.本症例の糖尿病は軽度であるが,食事運動療法によるコントロールが不良となったため,経口血糖降下薬を内服開始した.その結果,現在の血糖コントロールは良好である.MEN1は比較的稀な疾患ではあるが,糖尿病患者の中にこの疾患が潜んでいる可能性を意識すること,特に高Ca血症および低P血症によって副甲状腺機能亢進症をスクリーニングすることは有益であると思われた.また,逆にMEN1患者を診療する際には患者本人およびその家族も含めて定期的に耐糖能を評価する必要があると思われた.
Caseの教訓:糖尿病患者の中に隠れた副甲状腺機能亢進症を見逃さないため,血清の補正Ca値およびP値をチェックし,その中からさらにMEN1を除外することは有益であると思われる.
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