Master Net
第11回SMBGフォーラムに参加して―(東京,2003年2月15日)
羽原 隆
1
1東京厚生年金病院内科
pp.388
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100410
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
第11回SMBGフォーラムは,第1部がパネルディスカッションで,テーマは「肥満治療」であった.加藤光敏先生(加藤内科クリニック院長)の司会で,1)肥満治療のコツ(平尾紘一先生),2)肥満者にやる気を出させるあの手この手(加藤則子先生),3)肥満者患者の診療経験より(宮崎滋先生),4)短期の生活習慣改善がインスリン抵抗性を改善するメカニズム(田中逸先生)の講演のあと質疑応答が行われた.糖尿病フォーラムとしては異例のテーマであったが,奥が深いものであった.開業医,管理栄養士,病院医師,大学医師から,それぞれの立場における肥満治療の実際に触れ,苦労して診療が行われていることを学んだ.内臓脂肪の捉え方,また食事指導についての,各臨床スタッフの粘り強い指導の成果を学ぶことができた.こうした状況のなかでも研究は進展し,脂肪細胞が注目されている.脂肪細胞のホルモン物質アディポネクチンなどに対する研究の進展状況や新しい治検薬の状況などの有益な情報とともに,インスリン抵抗性との関わりや日常の診療における肥満治療に対するアプローチについて大いに勉強になった.
第2部は特別講演で,京都府立医大教授,吉田俊秀氏の雄弁な「肥満症」の講演は,認識を新たにする機会となった.「肥満」を「肥満症」と疾患としてとらえることが,「肥満症」患者に対する糖尿病予防治療へつながっていく可能性のあることを再認識した.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.