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1型糖尿病において血糖コントロールを厳格にすることにより,大血管障害の発症を抑制できる.強化インスリン療法の際には食事・運動療法を守り,インスリンの過量投与と肥満の発生に注意が必要である.
医学生から筆者への最新の糖尿病治療に関する質問
米国のロサンゼルスで代謝内科を開業している先輩のところに見学に行ってきた若い医学生から,
「米国では,好きなものを食べてインスリンを追加して目標の血糖コントロールにもっていく治療法が一般的なのに,なぜ(先生の第3内科を含めて)日本では,インスリン量を決めたままで食事療法にうるさいのでしょうか?」
との質問を受けた.Diabetes Control and Complication Trial(DCCT)研究の成果以来,良好な血糖コントロールが糖尿病による慢性合併症(特に細小血管障害)を予防するというエビデンスは極めて有意義なものではあるが,1型糖尿病患者のインスリン療法(特に血糖値に応じたインスリン投与)をどのように運用していくか,食事・運動療法などとの関係はどのようなバランスをもって行うのか,に関しては未だ意見の一致を見ていない.米国のインスリン持続型皮下注射法(CSⅡ)では500 Rule,1,800 Ruleなど血糖値に応じたインスリンの追加注入アルゴリズムが頻用されているという1)(Tips 1~3).その結果,米国から紹介されてくるCSⅡ療法中の1型糖尿病患者は,ほとんどの例で高度の肥満を認めており,将来の大血管障害の発症が懸念される.
本稿では,先に紹介した医学生の質問に答えることも含めて欧米におけるエビデンスを参考に,日本における1型糖尿病の大血管障害の予防を目的とした代謝管理について述べてみたい.
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