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特集 脳・心・腎連関を見逃さない
Ⅱ脳・心・腎連関各論
脳・心・腎連関の観点からみた糖尿病合併症―キーワードは「アルブミン尿」
Cerebro-cardio-renal syndrome associated with chronic complications in diabetic patients
坊内 良太郎
1
,
髙木 通乃
1
,
吉田 直史
1
,
東谷 紀和子
1
,
入村 泉
1
,
花井 豪
1
,
田中 伸枝
1
,
馬場園 哲也
1
1東京女子医科大学 糖尿病センター内科
キーワード:
①糖尿病
,
②アルブミン尿
,
③eGFR
,
④脳卒中
,
⑤冠動脈疾患
Keyword:
①糖尿病
,
②アルブミン尿
,
③eGFR
,
④脳卒中
,
⑤冠動脈疾患
pp.307-312
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101354
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はじめに
心・腎連関(あるいは心腎症候群cardio-renal syndrome : CRS)とは,心あるいは腎の一方に障害もしくは機能低下が起こった場合,他方の臓器にも障害や機能低下が及ぶ病態であり,Roncoらは,連関の起こり方の時間的経過(急性あるいは慢性)および臓器連関の方向性を考慮し,Box 1に示すような5型に分類している1).さらに最近では,脳を含めた多臓器連関,すなわち脳・心・腎連関へと,その概念が拡張されている.
糖尿病性慢性血管合併症は,細小血管障害と大血管障害に大きく分けられ,前者には網膜症と腎症,後者には脳血管障害(脳卒中),冠動脈疾患,および末梢動脈疾患が含まれる.糖尿病患者における細小血管障害と大血管障害の連関を考えるうえでは,まず共通する病態が両血管障害を引き起こすRonco分類CRS-5型,慢性の腎障害が心機能に連関するCRS-4型,さらには慢性の心機能低下が腎に影響するCRS-2型に分けて考える必要がある.
本稿では,特に細小血管障害としての腎症と,大血管障害である脳卒中および冠動脈疾患の連関について,概説したい.
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