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特集 糖尿病診療の神話と事実―日常診療のなかの不確実性
神話と事実
空腹時血糖値126 mg/dL以上は糖尿病と診断される
Fasting plasma glucose over and above 126 mg/dL could diagnose individuals with newly diagnosed diabetes. Is it true ?
中神 朋子
1
1東京女子医科大学・糖尿病センター内科
キーワード:
糖尿病の診断
,
糖尿病のスクリーニング
,
空腹時血糖値
,
ブドウ糖負荷後2時間血糖値
Keyword:
糖尿病の診断
,
糖尿病のスクリーニング
,
空腹時血糖値
,
ブドウ糖負荷後2時間血糖値
pp.739-744
発行日 2005年9月15日
Published Date 2005/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100022
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Case 1 空腹時血糖値126 mg/dL以上で糖尿病と診断された2型糖尿病患者の1例
患者:62歳女性,156 cm,58 kg.
生来健康.高血圧のため近医で降圧薬を処方されている.数週間前から残尿感が出現.数日前から腰痛が出現し,夕方になると37~38℃の発熱を来し,近医を受診した.
治療経過:38.5℃の発熱,右背部に殴打痛あり.検尿で尿混濁(3+)尿蛋白(3+)尿糖(3+).血算で白血球25,000/mL(好中球86%),血沈1時間値120 mm,CRP 18.0 mg/dL,随時血糖285 mg/dL.腹部エコーで左腎の腫大と腎盂の拡大を認め腎盂腎炎が疑われ尿培養施行.大腸菌106 CFU/mLが同定され,補液とピペラシリンナトリウム2 g/日の点滴を行ったところ,数日内に解熱,自覚症状も消失,検尿・炎症所見も改善した.一方,血液検査を再度行ったところ,空腹時血糖148 mg/dL,HbA1C 6.2%であり,2型糖尿病と診断された.食事療法1,440 kcalを指導し,退院時には空腹時血糖96~106 mg/dL,食後血糖145~186 mg/dLに改善した.なお,糖尿病の合併症は糖尿病の神経障害として下肢の腱反射減弱を認めたが,網膜症や早期腎症はなかった.
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