プライマリ・ケア医のための「みみ・はな・のど」・13
耳の痛みを伴わない耳漏に注意―慢性中耳炎(穿孔性中耳炎)
藤村 聡
1
,
伊藤 壽一
2
,
福井 次矢
1
1京都大学医学部附属病院総合診療部
2京都大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
pp.1156-1157
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903687
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プライマリ・ケアの臨床現場では,上気道炎の患者が多いため,耳の痛みの訴えをしばしば経験する.そうしたケースでは,耳鏡で観察することにより大部分は急性中耳炎や急性外耳炎と診断でき,非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)や抗生物質の投与を行い,ケースにより耳鼻咽喉科への紹介が行われていると考えられる.
しかし,上気道炎で来院した患者が耳の痛みを訴えず,少量の耳漏のみを訴える場合は,耳鼻科医でない医師はその症状にあまり注目しない傾向があると筆者(藤村)には思われる.一般に耳漏というと,急性中耳炎の増悪時に中耳に膿汁が溜まり,鼓膜を破り排膿されることが多く,その場合,患者は激痛を感じる.しかし,慢性中耳炎による耳漏は痛みを伴わないことが多く,患者によっては,医療機関を受診することさえせず放置していることもある.本稿では慢性中耳炎について解説を加える.
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