プライマリ・ケア医のための「みみ・はな・のど」・12
航空機搭乗中に生じる耳の痛み(航空性中耳炎)―原因と対処法
藤村 聡
1
,
伊藤 壽一
2
,
福井 次矢
1
1京都大学医学部附属病院総合診療部
2京都大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
pp.1068-1069
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903665
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初めての飛行機旅行で航空性中耳炎を経験した高校生の手記
私は2000年9月,高校の修学旅行でシンガポールに行きました.私にとってはこれが初めての海外旅行でした.離陸する時は緊張していましたが,飛行中は快適でリラックスしていました.ところが,着陸準備のためシートベルトをつけるように指示があった少し後に,急に耳が痛くなりはじめました.最初は車に乗ってトンネルに入ったぐらいの痛さでしたが,すぐにその痛みを超えて耳に激痛が走りました.以前私は「耳が痛くなったら唾を飲み込んだらよい」と聞いていたので,何度も試しましたが効果はありませんでした.着陸するまでの20分間,私は耳を押さえて耐えていました.その後空港で,「あくびをすればよくなる」と聞いたので実行してみると,一瞬耳の中に最悪の激痛が走りました.その後も痛みは続き,自分の声がとても聞き取りにくく,くもったような感じにしか聞こえず,この先の旅行に不安を感じました.次の日から,痛みはほとんど消えて,唾や飲み物を飲んだ時に聞こえる不快な音だけがありましたが,すこし安心し,その日からの旅行を楽しみました.
ところが,帰国する時の下降時にも同じことが発生し,帰宅後も耳の痛みはとれず,すぐに病院に行ったところ,航空機搭乗による急性中耳炎と診断され投薬を受けました.病名は知ったものの,再び飛行機に乗るのが不安でしかたありません.
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