特集 抗菌薬の特徴と使い方のコツ
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古川 恵一
,
伊藤 澄信
pp.1064
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903664
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Q1 市中肺炎の初期治療にカルバペネム系抗菌薬を投与するのは不適切か.
A 市中肺炎の主要な起因菌のなかで,最近問題になっている菌の1つとしてペニシリン耐性肺炎球菌があります.ペニシリン耐性肺炎球菌感染がペニシリン感受性肺炎球菌感染の場合と比べて予後が悪くなる感染症は髄膜炎です.ペニシリンの感受性の基準となるブレイクポイントは髄膜炎の場合を基準に定められており,肺炎の場合はペニシリンに中等度耐性のレベルであればペニシリン系でも静注で十分量使えば有効であり,ペニシリン感受性菌の場合と比べて予後に差はないと報告されています.重症肺炎や敗血症を合併している例では,ペニシリン耐性肺炎球菌感染であっても大部分の例では第三世代セファロスポリンのセフォタキシムまたはセフトリアキソンの静注により十分な効果が得られると考えます.これらの抗菌薬はインフルエンザ菌やクレブシエラなどに対しても有効です.
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