"なぜ診断できないか"を科学する・7
診断の難しい悪性リンパ腫について
江村 正
1,2
1佐賀医科大学総合診療部
2現:ミシガン州立大学家庭医学科
pp.675
発行日 2002年7月15日
Published Date 2002/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903576
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筆者の所属する佐賀医科大学総合診療部は,血液内科と同じ病棟にあるため,血液疾患の診断・治療に関しては永年協力して行ってきた.たとえば,リンパ節腫脹の原因検索を総合診療部が担当し,悪性リンパ腫と診断できれば血液内科で化学療法を行う,というようにである.悪性リンパ腫は年々増加している.大学病院以外でも悪性リンパ腫の患者に遭遇することは決して稀ではない.
先月号で述べた結核同様,悪性リンパ腫も"何でもあり"である.どの臓器が侵されてもよい.節外リンパ腫として,中枢神経系,眼窩,扁桃・咽頭,唾液腺,甲状腺,乳腺,肺,縦隔,消化管,肝臓,脾臓,副腎,生殖器,筋・骨格系,皮膚などがあげられる.リンパ節が腫脹していれば悪性リンパ腫を鑑別診断にあげることは容易であるが,リンパ節腫脹が認められない場合に,悪性リンパ腫を疑うことはできるだろうか.今回は,悪性リンパ腫の中で,リンパ節腫脹を伴わない,とくに診断が難しいと思われる病型について述べたい.
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