外来で見逃された症例―あなたの診断は?・46
激しい右季肋部痛を訴える酒臭い中年男性
瀧澤 美代子
1
,
生坂 政臣
2
1聖マリアンナ医科大学総合診療内科
2生坂医院
pp.597,690
発行日 2002年7月15日
Published Date 2002/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903558
- 有料閲覧
- 文献概要
症例:55歳,男性.3日前からの発熱,悪心・嘔吐,腹痛にて受診.痛みを紛らわせるために久しぶりに酒を飲んだが治まらなかったという.痛みは背部へ放散する持続痛で,歩行などの体動で悪化した.2~3年前からしばしば同様の症状を経験し近医を受診していたが,原因は特定されていない.虫垂炎の手術歴以外に特記すべき既往歴なし.喫煙は一日10本.昔はよく酒を飲んだが,この半年は一滴も口にしていないという.来院時の身体診察では,体温36.1℃,脈拍80/分,若干のアルコール臭を認める.心雑音なく呼吸音正常.腹部診察では,右季肋部に限局した著明な圧痛と筋性防御があり,Murphy徴候陽性であった.脾臓は触知しない.クモ状血管腫や手掌紅斑を認める.血液検査ではHb 16.6g/dl,MCV 106.6 fl,白血球9,100/μl,血小板15.6×104/μl,総ビリルビン1.7mg/dl,AST 210IU/l,ALT 53IU/l,ALP 362IU/l,γ-GTP 639IU/l,アミラーゼ112IU/l,CRP 0.3mg/dl以下,血糖113mg/dlであった.外来での腹部超音波検査で総胆管の拡張や胆石を認めない(図1).
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.