特集 最新・感染症事情
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赤尾 信明
,
福田 美和
pp.337
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903508
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Q1 旋尾線虫type X幼虫による感染を血清 学的に抗体検査で診断することは可能ですか.
A 細菌やウイルスと同じように,寄生虫感染によっても宿主には液性免疫反応が惹起され,血清中に抗原特異的な抗体が産生される.旋尾線虫type X幼虫感染でも同じように,血清中には感染後1ないし2週間以内に抗体が検出されるが,検査に用いることができるほどの幼虫抗原を作成することが困難なため,免疫診断それ自身はまだそれほど普及していない.われわれの研究室では,旋尾線虫type X幼虫の薄切切片を抗原とする酵素抗体染色法を用いて抗体検出系を開発した.これは,幼虫の食道腺質部に抗原物質が局在していることを利用して,この部位と反応する血清希釈倍数の逆数を抗体価とするもので,1:100以上を陽性と判定している.
この方法で腸閉塞型患者のペア血清を検査すると,80%以上の症例で特異IgG抗体の上昇を確認することができる.しかし,皮膚爬行疹型では50%程度の陽転率であった.腸閉塞型については補助的診断法として利用できるものと考えている.
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