特集 高齢者と薬
One more JIM
pp.968-969
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100738
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Q1 高齢心不全患者に対する薬物動態理論の応用の実際を教えてください.
A ここでは強心配糖体として今日繁用されているジゴキシンの高齢患者に対する初期至適治療計画を,本文で述べた薬物動態理論を応用して試みる.この目的を達成するためには,高齢者のジゴキシン動態値が知られていなければならない.Cusackらの研究(Clin Pharmacol Ther 25 : 772-776, 1979)によれば,7名の高齢者(72~91歳)と6名の若年者(34~60歳)より得られたジゴキシンの平均的動態値は以下のごとくであった.
ジゴキシンのうっ血性心不全に対する有効域は0.5~1.5 ng/mlであることと,投与量に対する腎機能正常者における尿中未変化体排泄率fu=70%であることが知られている(本文の表2).
以上の知見に基づいて,75歳のうっ血性心不全患者に対する初回負荷量(loading dose : DL)と,1日1回の投与での1回の維持量(maintenance dose : DM)を求めてみる.なお,患者の入院時体重は60 kg,血清クレアチニン値は1.3 mg/dlとする.
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