特集 ゲノム時代と病院
京都大学医学部附属病院遺伝子診療部の運営—その現状と展望
藤田 潤
1
,
小杉 眞司
1
,
依藤 亨
1
,
藤村 聡
1
,
富和 清隆
1
1京都大学医学部附属病院遺伝子診療部
pp.1041-1044
発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903430
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
近年,いわゆる遺伝病だけではなく,一般的な高血圧や糖尿病などの生活習慣病や悪性腫瘍の発症に関係する遺伝子が次々と報告されている.これら遺伝子に関する情報はデータ量が膨大で,しかも増加のスピードが速いため,コンピュータとインターネットを使わなければ進歩についていけない.一方,マスメディアや一部の雑誌では,まだ確定していない内容を大きく取り上げることがしばしばであるために,人々の遺伝医学に対する期待は高まり,一般の人はもちろん,それを専門としていない医師もその情報の意義を誤解してしまう場合もある.また,インターネットで最新知識を仕入れてきた患者に医師が対応できない事態も一部では生じている.
京都大学医学部では平成8年9月,それまで各診療科単位で行っていた遺伝医学的な対応を附属病院として統一して行おうと「遺伝子診療相談室」を開設した.同時期に信州大学にも同様な部門ができたのは時代を反映していたからであろう.平成13年4月,院内措置により遺伝子診療相談室は「遺伝子診療部」となった.本稿ではその現状を報告する.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.