Update '98
外からみた日本のプライマリケア,卒後研修
松村 真司
1
1UCLA医学部総合内科
pp.450
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902469
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先日,私はカリフォルニア大学デービス校医学部のプライマリケア内科を訪問する機会を与えられた.彼らは大きなメディカルセンターの横で,Family MedicineとGeneral Internal Medicineが共同プライマリケアセンターを持って診療にあたっており,別棟にはプライマリケアリサーチを専門に行っている大きなセンターがあった.彼らスタッフとの話の中で,日本の話になった.「日本にはプライマリケアを担う科が少ない?では誰がかぜや下痢などを診ているのだ!」さらに,「開業のための試験がない?では誰がプライマリケア医の質を……」.これらの質問は私がこちらに来てから何度も聞かれ,そして何度も説明しようとしている内容である.医局支配,専門医偏重,統一されていない卒後研修,そして日本のプライマリケア.私がこちらで勉強すべき事はたくさんあるが,その前に,日本のことをもっとよく知っておくべきであったと反省する毎日である.
日本に滞在し,いくつかの研修病院で長期にわたり直接指導にあたり,わが国の医学教育に多大な影響を与えたUCSFのTierney先生はその訪問の報告の中で次のように書いている.「臨床診断は重要視されない.日本の研修医は,身体所見についての経験に乏しい.」また,「とにかく,日本の臨床医学は全体的にいまだ発展途上のアートである」とも書いている1).
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