Update '98
筋萎縮性側索硬化症(ALS)のターミナルケア
渡辺 良
1
1横浜市立市民病院神経内科
pp.49
発行日 1998年1月15日
Published Date 1998/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902349
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ALSに対して,最近では呼吸器装着や喉頭全摘術を含め様々な対症療法が試みられるようになったが,その末期の苦痛を取り除くことは容易なことではない.
治療法のない患者に無意味な治療を施して苦痛を引き延ばすのではなく,苦痛を緩和することで最後まで人間的な生活を保つことを目標にするのがホスピスケアの概念であるが,日本ではまだ癌患者以外本格的に取り組まれていない.ALSに対してもホスピスケア的アプローチが必要なのではないかと筆者は考え,ALS患者を受け入れ,積極的にその在宅ケアも行っている英国のホスピスを訪ねた.そこでは患者をwhole patientととらえ身体的ケアを土台としたうえで情緒的,社会的,宗教的側面をも重視し,その各々のpainに対処していく.このトータルケアを実行するにはホームドクター,ナース,医療ソーシャルワーカ,理学療法士,作業療法士,臨床心理士,宗教家,ボランティアそして家族を含めた,患者を支えるためのチームが必要であり,主治医あるいは他のスタッフがチームのkey workerとして職種間のリーダー兼調整役になる.
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