いま開業はおもしろい・1【新連載】
町の文化の発信医院
石川 富士郎
1
1富士医院
pp.660-661
発行日 1995年7月15日
Published Date 1995/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901576
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■富士医院誕生から現在までの軌跡
1969年,岡山大学医学部を卒業.大学病院での勤務や教壇に立つ道を歩んで十数年後,私は当地,新野町で本格的な地域医療に取り組むことになった.この地は,阿南市街から車で30分,人口5,000人,竹林に彩られた四国霊場22番札所・平等寺の門前町である.
私はここで,自らが理想とする地域医療を,この手で,この土地で展開してみたい.そんな思いに駆られて,1982年,徳島大学を退職し,開業医の道を選んだ.しかし非医家の子弟である私の開業資金は,余りにもおそまつ.そこでこのハンディを克服するために,まず古い木造の医療施設を借り受けて出発することにした.手持ちの貯金,500万円を叩き,開業に必要な最低限の器具を準備した.内科・小児科標榜の富士医院(無床診療所)は,このようにして全国一の医師過剰県で,借金ゼロでスタートを切ることになった.この町に競合する有床診療所は1つ.また,阿南市内には,開放型病院である阿南医師会中央病院がある.
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