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1 中毒性巨大結腸症の治療に体位変換が有効/2 ACE阻害薬による咳にクロモグリク酸ナトリウムの吸入が有用
溝渕 和久
1
1今西医院
pp.659
発行日 1995年7月15日
Published Date 1995/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901575
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1 中毒性巨大結腸症は潰瘍性大腸炎の合併症として遭遇することが最も多いが,Crohn病や感染性,あるいは非感染性大腸炎でも生じる.発生頻度は潰瘍性大腸炎で入院した患者の10~13%と報告されている.中毒性巨大結腸症全体としての致命率は16%で,穿孔が生じた時は44%に増加する.少しでも中毒性巨大結腸症を疑えば腹部単純X線写真を撮って大腸径を評価する.診断が確定すれば集中的な経静脈治療を行い,腸管の安静を図り,内科医と外科医が緊密な連携をとる.結腸の拡張が増強するか,速やかに改善しない時は緊急結腸切除術が必要となる.手術を避けるため他に何か方法があるのだろうか?
1988年にPresentらは中毒性巨大結腸症患者19名において,集中的内科治療に加えて患者を腹臥位とした.背臥位ではガスは大腸の最上部の最前部にたまったが,腹臥位をとることにより,ガスは大腸のより遠位へ移動し排出された.彼らは腹臥位をとることに加えて,1名を除き全例に長いチューブを小腸へ通した。さらに5名には柔らかいゴム性のカテーテルを直腸へ通した.全例で結腸の減圧が得られ完全に回復した.
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