忘れられない患者さんに学ぶ
何のための医学か
野中 博
1
1医療法人社団博腎会野中病院
pp.391
発行日 1995年5月15日
Published Date 1995/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901495
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1972年に医師となり,心疾患の救急医療がやりたく,母校の大学病院の内科学教室,中でも循環器を専門とする研究室に入局した.その当時はまだ救命救急センターの構想などなく,心筋梗塞の患者が入院すると,主治医が中心となって治療するに過ぎなかった.
ちょうどそのころ,人工透析療法を研修されて帰院した先生が私の指導医になられ,人工透析療法に興味が湧き,1973年2月以来,これを専門とし現在に至っている.1972年12月には,全国で慢性透析患者はわずか3,631名に過ぎなかった.しかしながら約20年後の1993年12月の慢性透析患者数は134,298名にまで増加した.この間の透析療法の進歩は著しく目を見張るものがあるが,それ以上に私は数多くの患者さんから「何のための医学か」を学んだつもりである.
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