臨床医の産業医活動・7
作業関連疾患と労災―脳血管障害および虚血性心疾患における突然死と労災
林田 一男
1
1新王子診療所
pp.365-367
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901490
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■過労死と労働災害
過労死という語句は,医学的にいわゆる突然死に対して,個人的な要素とその人の社会的環境も加味された言葉であって,多少の曖昧なニュアンスも感じられる.マスコミに使われて,一般にも使われるようになった流行語である.
そして職場の中での過労死と労働災害との関係が論議されるようになった.従来,労働の現場では,事故などによる災害や,職場における有害因子などによる健康障害は労働災害として認定され労災補償の対象となっている.この中でも特に私傷病として取り扱われていた循環器疾患(虚血性心疾患,心不全など)や脳血管障害(脳出血,脳梗塞など)では,その発症について業務との関係で,多くの疑義を持つ意見があったにもかかわらず,認定の対象とはなり得なかった(表1,2).
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