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外傷における輸液のタイミング
溝渕 和久
1
1今西医院
pp.368
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901491
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出血性外傷のため低血圧となっている患者の一般的管理は気道を確保して酸素を与え,速やかに血管を確保して,可能なら搬送途中でも喪失血液の輸液による補充を行うことである.搬送された外傷センターでは最高1l/mの速度で輸液する.そして患者を評価して,大量出血をコントロールするため受傷から1時間以内に手術を開始する.現在まで輸液による喪失血液の補充に関する論争はどの輸液製剤を用いるかであった.今までは出血性ショックの患者は1mlの血液喪失に対して3mlの等張液を補充することであった.最近,高張食塩水や高浸透圧デキストランを使用して血管内容量を保ち,全輸液量を減少させようとの試みがある.
そして今,即座の輸液による喪失血液補充そのものの是非が問われようとしている.今週号でBickellらは体幹の穿通性外傷において,喪失血液の輸液による補充を速やかに施行した場合と遅らせた場合の結果を報告した.腹部大動脈瘤破裂患者では輸液による補充は多くの場合遅らせて行われる.Bickellらのブタを使用した研究では,5mmの大動脈切除を施行して輸液による補充を行わなかった群ではブタはすべて生存した.
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