視座
労災障害等級表の見直しを
平林 洌
1
1慶應義塾看護短期大学
pp.113
発行日 1995年2月25日
Published Date 1995/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901555
- 有料閲覧
- 文献概要
体の柔軟性は加齢とともに低下してくるといわれるが,成人以後はほとんど変わらないとするX線計測による報告もある.そのためか労災の補償基準となる脊柱の可動域にも年代別の配慮はされていない.上しかし,中・高年者でX線上,椎間が狭小化し,椎体縁に大きな骨棘があれば,可動性を減じない訳はなく,事故後に計測した結果,正常可動域よりも減少しているからといって,減少分をすべて補償の対象とすることは,どうみても科学的とはいえない.
そもそも脊柱の可動制限とは,高度の強直性脊椎炎ならばいざ知らず,それほど高く補償されねばならないものであろうか.脊椎骨折や固定術後に正常可動域の1/2以下になると6級,1/2程度では8級という重度の障害とみなされる.因みに,6級とは両眼視力で0.1以下,四肢の3大関節中の2つが用廃,8級とは1眼が失明か,0.02以下の視力,3大関節中の1つが用廃であり,それらと同等ということになるからである.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.