総合外来 当直医読本
嘔吐,下痢症に引き続き発症した急性散在性脳脊髄炎の幼児例
市川 光太郎
1
1北九州市立八幡病院救命救急センター
pp.348-349
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901486
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■急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis, ADEM)は中枢神経系の多発性脱髄疾患であり,病態としては実験アレルギー脳炎の病理像と区別が付かず,自己免疫機構のうえに成立するとされ,その経過は単相性で予後良好とされている.
■原因,誘因が不明の特発性が1/3,ウイルス感染後発症とワクチン接種後が2/3を占めると言われ,小児(10歳以下)では特発性はまれとされる.ウイルス感染では麻疹,ムンプス,風疹,水痘などの報告が多いが,溶連菌など細菌の報告もあり,かつ特定できなかった病原体による先行感染の報告も多い.
■診断:臨床症状的には大脳,脳幹小脳,脊髄の2カ所以上の多発神経症状の存在で疑われ,検査上は髄液中ミエリン蛋白などの証明が参考とされてきたが,現在ではMRIのT2強調画像,特に造影MRIが脱髄病変の部位診断に有効.
■治療:早期診断によるステロイド薬の投与が最も有効.
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