忘れられない患者さんに学ぶ
患者さんに何を,どのように話すか
西村 健司
1
1千葉西病院
pp.295
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901468
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今から15年余前,大学を卒業後,循環器科を志し最初に赴任したのは北九州市の中核病院でした.今でこそ心臓カテーテルという検査は一般的な検査となりましたが,当時は一般病院で週に10例,年間500例という件数は驚異的な数であり,私はその中で臨床と研究に多忙な毎日でした.
今でも私にとって印象深い言葉を残して下さったその患者さんに出会ったのは,赴任して2年目のことだったと思います.その方は70歳台半の女性で,農家に嫁ぎ,以来ずっと農業に従事してきたとのこと.小柄で少し腰は曲がりこそすれ,一見したところは随分元気そうに見えました.しかし,心筋梗塞の既往のある彼女の検査結果は,多枝疾患で心機能も悪く手術適応もなしというものでした.早速,私は本人と家族にその検査結果と予後について,いわゆる"厳しいムンテラ"をしました.
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