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特集 内科治療のスタンダード―集団から個への橋渡し
慢性心房細動―最適なマネージメント
Chronic Atrial Fibrillation:Optimal management in clinic
谷川 直
1
1日本大学第2内科循環機能室
pp.22-24
発行日 1995年1月15日
Published Date 1995/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901388
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■症例 著明な心機能の低下を示した頻脈性心房細動の1例
患者 65歳,男性.
労作時の息切れ,呼吸困難を主訴として来院した.胸部X線写真では心胸比65%,聴診では奔馬音を聞くが心雑音はない.心電図では頻脈性心房細動(心拍数130/分)で,左側胸部誘導で高電位差を認めた.断層心エコー図で著しい左室拡大(拡張末期径65mm)を認め,左室駆出分画は35%であった.また左房径は45mm,左房,右房の拡大を認めた.血圧96/80mmHg,肺野にラ音を聴取し,下腿浮腫がある.検査所見では貧血(ハ),肝機能,腎機能,甲状腺機能は正常であった.経食道断層心エコー法では左房内に血栓を認めず,右房中隔側に付着する1cm径の塊状エコーを検出した.現病歴から慢性心房細動を伴った拡張型心筋症を疑った.入院時心機能の改善と心拍数の調節を目的として5%ブドウ糖にセジラニド0.4mgを加え静脈注射,さらに利尿薬としてラシックス20mgを注射した.血栓に対する抗凝固療法としてワーファリン2mgを維持療法として使用,トロンボテストを30%以下に保った.入院後加療により肺野のうっ血は改善したが,頻脈傾向が残るため静脈注射を中止し,ラニラピッド0.1mg/日,ラシックス40mgの他に,少量のβ遮断薬(セロケン40mg/日)の経口投与を開始した.
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