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特集 内科治療のスタンダード―集団から個への橋渡し
心不全の薬物療法―ACE阻害薬かジギタリスか?
Pharmacological Treatment of Congestive Heart Failure:ACE inhibitor or digitalis?
土居 義典
1
1高知医科大学老年病科循環器科
pp.26-29
発行日 1995年1月15日
Published Date 1995/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901389
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■ACE阻害薬力階効した治療抵抗性の重症心不全
患者 60歳,男性.
入院の約1ヵ月前より全身倦怠感と労作時呼吸困難が出現.心不全の診断で,前医よりループ利尿葉とジゴキシンを処方された.しかし症状は次第に増悪し,血圧低下も伴ったため緊急入院した.入院時の上肢血圧は触診で64㎜Hg,脈拍は96/分整であった.心尖部にIII音とIII/VI度の汎収縮期雑音を,また下肺に湿性ラ音を聴取した.NYHA心機能分類はIV度であった.心エコー検査により高度の左室のびまん性壁運動低下を認め,拡張型心筋症による非代償性心不全が疑われた.入院後カテコールアミン製剤(ノルアドレナリン,ドーパミン,ドブタミン)を併用投与したが,急性肺永腫となり,一時的に人工呼吸器の使用を要した.呼吸器から離脱後も低血圧が持続し,カテコールアミン製剤の減量は困難であった.血圧低下に注意しつつ,カプトプリルの投与を少量(6.25mg/日)から開始し,18.75mg/日まで漸増したところでカテコールアミン製剤から離脱可能となり,約3カ月後に歩行退院した.
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