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特集 内科治療のスタンダード―集団から個への橋渡し
治療のスタンダード―集団から個への橋渡し
Standards for Patient Treatment:Transferring Mass Study Results to Individual Patients
福井 次矢
1
1京都大学総合診療部
pp.8-10
発行日 1995年1月15日
Published Date 1995/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901384
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治療のスタンダードとは,文書の形であるなしにかかわらず,ある時点における大多数の医師のコンセンサスが得られている治療方針を指すと考えられる.
近年の医療と医学に関する知見は加速度的に増大しつつあり,たとえ内科の領域に限っても,一人ひとりの医師があらゆる疾患に関する最新の研究データを踏まえたうえで,自分で判断することは事実上不可能である.しかも,短期間のうちに誰の目にも効果の有無が明らかとなるかつての感染症治療などの場合とは違って,最近のほとんどの治療法は長期間にわたって多数の患者を観察し,統計学的に処理して始めて有効性の比較ができるものばかりである(J1).したがって,当該領域のリーダーと注目されている医師たちが最新の研究データの信頼性を評価し,具体的な診療行為について勧告を出すという作業がしばしば行われるようになった.米国から出されている高血圧や気管支喘息の治療ガイドライン1)2)はその最も有名なものであろう.
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