特集 医療社会事業の役割
論点
医療社会事業に何を期待するか
医学と社会科学の橋渡しの役割
千早 正寿
1
1鹿児島市中央保健所
pp.149-150
発行日 1968年3月15日
Published Date 1968/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203638
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人間の生存一切が医学の対象
医学は自然科学として形成されたところに近代医学のめざましい発展のあとがあった。だからといって医学は単なる自然科学にとどまってもよいというものでないことはもちろんである。本来広義の医の存在理由(レーゾンデートル)は本来医術であると私は考えている。この場合医の技術は一般的な意味の技術とは異なり,後者は人間が自然に働きかける術であるのに対して,前者は人間が人間に働きかける術であるところに他の自然科学を基礎とした技術との本質的な相異のあることを銘記しておかなくてはならない。
医学を疾病の予防治療の学とするならば,人間の生存に関与するいっさいの事象はすべて医学の対象であり,なかでも社会科学的見地から解明対処すべき分野が幅広く存在し,しかもそれが社会構造の変遷,進展とともにますます拡大され複雑化しつつあることは論をまたない。
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