ティアニー先生のBedside Teaching
原因不明の乳び心のう液貯留
福山 直人
1
,
堀木 紀行
1
1聖路加国際病院内科
pp.283
発行日 1994年3月15日
Published Date 1994/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901140
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症例
「患者は生来健康な51歳女性です.1985年にある大学病院で検診にて撮った胸部X写真で心陰影の拡大を指摘され,心エコーにて大量の心のう液貯留が認められました.しかし,自覚症状がないため外来受診しませんでした.その後上気道炎,浮腫のため当院を受診しましたが,心のう穿刺は拒否し以降当院に来院しませんでした.しかし,1992年7月29日,感冒のため夜間呼吸困難となり,本人は心臓の病気のためと思い当院外来を受診しました.この時,再度心エコー施行され,約800mlの心のう液貯留を認めたため同年9月7日,心のう穿刺目的で入院となりました.飲酒歴,喫煙歴はなく,海外渡航歴もありません.外傷,手術の既往もありません.
身体的所見では,身長152.0cm,体重51.0kg,血圧128/80mmHg (左右差はなく,奇脈は認められず),脈拍80/min,体温36.1℃です.頭頸部では頸静脈怒脹を認めるほか異常所見はありませんでした.胸部で心音はdistantです.心雑音および異常心音はなく,肺野にラ音は聴取しませんでした.腹部では,肝臓を一横指右季助下に触れ,表面平滑軟で辺縁は鋭でした.下肢に圧痕のある浮腫を軽度認めました.
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