和漢診療ケーススタディ リフレッシャー・コース・2
腹候をどうとらえるか―過敏性腸症候群とスモン病の症例を対象として
星野 恵津夫
1
,
衞藤 公治
2
,
寺澤 捷年
3
1帝京大学第2内科
2衞藤医院
3富山医科薬科大学和漢診療部
pp.173-177
発行日 1993年2月15日
Published Date 1993/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900756
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例
患者:49歳女性.主訴:左下腹部痛,便秘.現病歴:16歳頃粘液性の下痢あり.「直腸潰瘍」の診断のもとにキノホルムを投与された.30歳頃より左下腹部痛が続いている.42歳頃から某神経内科でスモン病の診断で治療を受けている.45歳で乳癌のため左乳房切断術を受け,以後2年間抗癌剤を投与された.その頃より強度の便秘となり,下剤を服用しないと排便がなく,服用すると下痢と左下腹部痛がみられるようになった.また,消化器症状以外に,以前から不眠・耳鳴・難聴・味覚低下があり,就眠中全身が何ともいえず苦しくなり,無意識のうちに膝や肘が曲がってしまい,足底,足趾が腫れて痛むといった症状がある.
既往歴:小児時より心房中隔欠損症を指摘され,18歳で十二指腸潰瘍,21歳で十二指腸狭窄に対して胃亜全摘術を受けている.1989年11月初診.血液・尿検査に異常はなく,注腸X線・大腸内視鏡検査で軽度の直腸炎を認めるのみで機能性腸疾患と考えられた.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.