Dear Doctors―医師への手紙
ワーカーに協力を求めたドクター
本多 勝子
1
1敬寿園
pp.489
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900459
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先日あるパーティの席で,ステキな歯医者さんに出会いました.これまで歯科医師は「ただ,歯の治療をしてくれる人で,上手下手が問題だから,なるべく手先が器用で,痛くないように治療し,キッチリした噛み心地の良い入歯を作ってくれる人なら良い」くらいに思っていました.付け加えれば,親切で優しければ申し分がないんだけれど……と.私の場合,自分は全く歯科医師のお世話にならないで済んでいるのですが,仕事柄,老人の歯の治療の問題におつきあいすることが多くあります.身体が不自由になっておられるため従来の医院では治療ができなくなってしまい本人も,家族も,当然のように,固い物を噛んだり,普通の食事は無理だと決めこんでおられる場合も多いようです.ケースワーカーとして,こんな時,歯が治れば,このお年寄りの顔はもっと若くなるだろうし,若い自分を鏡でみれば,気分もハツラツとして,食事だってどんなにおいしくなることだろう……と思ってみても,治療を引き受けてくださるドクターがいなければ話になりません.ところがです!!ステキなドクターがいらっしゃったのです.「歯の治療」を単に「歯」を治療する観点ではなく,その患者さんの全体像をとらえ,その人の人生を大切にしようという立場から治療に取り組みたいと情熱的に目を輝やかせながら話をなさり,ワーカーに協力を求められたドクター.先生ありがとう!!こちらこそ,これからもよろしくお願い致します.一人一人を大切に,急がずネットワークを広げてゆきたいと思います.
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