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ILO,UNESCO,WHOのJoint Position Paper(1994)では,「CBR(Community-based Rehabili tation,地域に根ざしたリハビリテーション)は,すべての障害者に対するリハビリテーション,機会均等,社会的統合のための,地域開発における戦略である.そして,障害者自身,家族,地域の共同の努力,そして適切な保健,教育,職業,社会的サービスを通じて実施される」1)と定義されている.そして,メキシコのCBRプロジェクトPROJIMOの推進者であり,また多くの国々で使われているマニュアル“Disabled Village Children”2)の著者であるDavid Wernerは,CBRとは“リハビリテーションの宮殿”(施設におけるリハビリテーション)で行われていたものを地域に開くことであり,その中心的役割を果たすのは障害者自身,その家族であると強調し,ZimbabweのDIP(Disabled Persons International)リーダーであるJoshua Malingaの「リハビリテーションを受けるべきは社会である」という言葉を繰り返し引用している3,4).
筆者は,1995年7月から1996年6月まで英国に滞在し,ロンドン大学児童保健研究所(Institute of Child Health;ICH)のCBRコースに学ぶ機会を得たが,CBRの取り組みの大きな柱の一つは,まさに社会の障害者に対する態度の変革と種々のバリアを除去するプロセスであるという意を強くした.そこで,このコースの概要を紹介するとともに,日本でCBRを論議する場合の2,3のコメントを記述してみたい.
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