日常医療のOne Point Advice
在宅ケアの現場から―(患者・家族関係からのアプローチ)
加藤 恒夫
1
1かとう内科
pp.480
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900454
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症状の正確な評価は治療の第一歩である.しかし,通院が困難なため在宅療養中の高齢者は,肉体的にも精神的にも自らを表現する能力が低下している.そして,高齢者在宅ケアは経過の長さと介護者の負担度の重さゆえ,家庭内人間関係の緊張度が高い.これらのことが,被介護者という弱者の有障害老人が,自らの状況を医療者に正確に伝えることを不可能にしている.
夜間せん妄,痴呆,失禁,無反応,様々な不定愁訴は,老化に伴う器質的変化に加えて患者―家族関係を反映していることが多い,つまり自己主張や抵抗などが,衰弱した老人には様々な肉体的精神的症状として出現する.
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