法医学からみえる"臨床"・5
いわゆる無認可保育所の乳児急死―事故死か病死かでわかれる責任の所在
高濱 桂一
1
Keiichi Takahama
1
1宮崎医科大学法医学教室
pp.524
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900166
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事例:198〇年,9月8日,司法解剖.
共稼ぎ夫婦の5カ月の男児が,いつものように午前8時頃,出勤途中の母親に連れられ,近くの私設保育所に預けられた.夕方5時過ぎ,母親が引き取りに現れ休んでいるはずのベッドをのぞいたところ,うつ伏せの状態でぐったりしており,あわてて救急車を要請し,市立病院の救急外来に運んだが,すでに死亡していることが確認された.母親が高年初産婦でやっと生まれたひとり子であったこと,母親が最初に異常に気付いた時,児の口の周りのマットが吐乳でぬれていたことなどから,児の両親は保育所側の「介護に落ち度はなかった」との説明に納得せず,自ら警察に通報して解剖を申し出た.なお警察の事情聴取によって,出生時体重が2500gの軽度未熟児であったこと,生来カゼをひきやすく,1週間程前にもカゼで近くの小児科医院を受診していたことが明らかになった.
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